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多職種の「言語」を知る ── 医師・看護師・PT・STとの連携入門

各専門職が重視する視点は違います。カンファレンスでの発言の仕方、OTとして最低限伝えるべきことを解説します。

📅 2026年3月27日 更新読了目安 6分

新卒OTスタートアップコラム「4月1日までに知っておきたいこと」── 第7回

この記事のポイント

  • 多職種連携の第一歩は、各専門職が「何を見ているか」を知ることです
  • カンファレンスでは完璧な発表よりも「OTとしての視点」を一言伝えることが大切です
  • 受け入れ側は、新人を早い段階で他職種に紹介する「橋渡し」を意識しましょう

同じ患者さんを見ていても、見ている景色が違う

入職すると、医師、看護師、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)、介護士、医療ソーシャルワーカー(MSW)など、多くの専門職と一緒に働くことになります。

全員が同じ患者さんを見ています。しかし、見ているポイントが違います

医師は疾患の診断・治療・リスク管理を中心に見ています。「この薬を変えるべきか」「手術の適応はあるか」が関心事です。

看護師は24時間の生活全体を見ています。「夜間の睡眠はどうか」「食事量は安定しているか」「痛みの訴えはないか」。

PTは基本動作能力と身体機能を中心に見ています。「歩行は安定しているか」「筋力はどの程度回復したか」。

STは嚥下機能とコミュニケーション能力を見ています。「安全に飲み込めるか」「意思疎通はできているか」。

ではOTは何を見ているのか。その人の「生活」を見ています。食事、更衣、入浴、トイレ── 毎日繰り返される具体的な生活動作と、その人にとって意味のある活動への参加を見ています。

この違いを知っておくだけで、他職種とのコミュニケーションが格段にスムーズになります。

各職種との「会話のコツ」

医師と話すとき

医師は忙しいので、要点を簡潔に伝えましょう。「○○さんのADLについてご相談です。食事動作は自立に近づいていますが、入浴動作に介助が必要な状況です。退院時期の目安に影響しますでしょうか」── 結論を先に、根拠は聞かれたら答える、というスタイルが有効です。

看護師と話すとき

看護師は病棟での生活情報をたくさん持っています。「リハビリの時間以外の様子」を教えてもらえる最も身近な情報源です。「リハビリではできている動作が病棟ではできていない」というギャップを把握するために、看護師との情報交換は欠かせません。

PTと話すとき

PTとは役割が重なる部分があるからこそ、お互いの視点の違いを意識することが大切です。PTが「歩行の安定性」を報告したら、OTは「その歩行能力でトイレまでの移動は安全か」という生活場面への接続を考えます。

STと話すとき

食事場面はOTとSTの連携が特に重要です。STが嚥下機能を評価し、OTが食事動作(姿勢・自助具・環境)を評価する。役割分担を理解しておくと、スムーズに協働できます。

カンファレンスでの発言

新人にとって最も緊張する場面のひとつがカンファレンスでしょう。

多職種が集まる場で発言するのは怖いかもしれません。しかし、完璧なプレゼンテーションは求められていません。求められているのは、OTとしての視点からの情報提供です。

最低限伝えるべきことは以下の3点です。

  1. 現在のADLの状況:「食事は自立、更衣は中等度介助、入浴は全介助です」
  2. 訓練で取り組んでいること:「現在は更衣動作の自立を目標に上肢機能訓練を行っています」
  3. 今後の見通しや課題:「注意力の低下が動作の安定性に影響しているため、環境調整も並行して検討しています」

短くて構いません。「OTの目から見た患者さんの生活」を伝えることが、チームへの貢献になります。

専門用語の壁

各職種には独特の専門用語や略語があります。入職直後は、カンファレンスで飛び交う略語の意味がわからないことも多いでしょう。

わからない略語や用語は、その場で無理に理解しようとせず、メモして後から確認する方法で構いません。施設独自の略語もあるため、最初のうちは「それはどういう意味ですか」と素直に聞くことも大切です。

受け入れ側へ── 新人を他職種に「紹介」する

新人が多職種と自然に連携できるようになるためには、受け入れ側の「橋渡し」が重要です。

カンファレンスに参加させる前に、まず看護師やPTに個別に紹介する機会を作りましょう。「今年入った○○さんです。最初は一緒に担当するので、何かあれば私に声をかけてください」── この一言があるだけで、新人が他職種に声をかけるハードルが大きく下がります。

カンファレンスの前には、「今日はここだけ発言してみよう」と具体的な目標を設定してあげてください。「全部話せ」ではなく「ADLの現状だけ報告しよう」から始めれば、新人も参加しやすくなります。


前回:患者さんとの最初の会話次回:1日のタイムマネジメント

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